歯科に対するよくある誤解について思うこと

はい、どうもまろです。
最近、Xだったか、YouTubeのコメント欄だったか忘れましたが、
「日本の歯科は遅れてるらしい」というコメントを見て、
思うことがあったので、書いてみました。
みなさんがよく持つ疑問や誤解、そして本当に
日本の歯科が遅れているのか、私の意見を書いていきます。
よくある誤解・疑問への回答
歯医者多すぎ?コンビニより多い?
はい、出ました。まずこれ。
歯医者多すぎとかいうネガキャンですね。
まず事実から述べましょう。
歯科医院 66,843軒
内科 およそ6.4万件(内科の中にさらに細分化されたものがあるためおよそ)
美容院 269,889軒
コンビニ 約56,505軒
どうでしょう、内科も十分多いです。
もっと言えば、美容院は歯医者の4倍近く多いです。
私が大学生になるより前から歯科医院はコンビニより多いとかいう
ネガキャンがありました。当時どういった経緯でそういう風に歯科医院の数を
揶揄するようになったかは定かではありませんが、政治的なものがあると思います。
私も勤務先の院長から聞いた話ですが、昔歯医者の待遇をもっと良くしようと
してくれていた、当時の大臣か官僚がスキャンダルで降ろされて、
歯医者への政策もポシャったみたいな話だったと聞きます。
あとですね、コンビニは病院より後にできた概念、存在です。
コンビニが歯医者くらい多くなってきた、が正解です。
昔は虫歯の洪水なんて言われて、歯医者が必要だったからどんどん
国が免許を与えて歯科医師人口を増やしていたんですね。
だがしかし、2年前には、歯医者を閉業する数が、新規開業数を上まわったそうです。
つまり、歯医者は今後減ります。
国家試験の合格者も2000人を切りました。
数十年前は4000人くらい合格していたんですけどね。半分です。
そして、内科がなんでこんなに多いのか?
医者のさまざまな診療科のなかで、一番儲かるからです笑
なので、
大病院で難しい心臓や脳の手術をしてくれているような外科の先生方は、
本当に尊い先生たちなのです。聖人君子ですよ。
もちろん年収は1000万以上かもしれませんが、それを加味しても
かなり過酷です。身を粉にして人命のために働いていると思います。

医者の友達も、研修医時代は、金を払うから休みをくれって
言うほど大変だったそうです。
内科を開業する先生たち全員がそうとは言いませんが、ほとんどは儲かるから
勤務先を飛び出して立地のいいところに開業をするんです。
本当に人のためなら、過疎地域の医者がいないところで開業してくれって思いますが、
私ももし歯医者を開業するなら好立地のところを探して開業しますよ。
生活もありますし、家族を養わないといけませんから、潰れるような立地では
開業しません。
まぁただ、今の時代は内科でも新規開業は大変みたいです。
(開業された先生がいくらの年収で満足するかは人によりけりですが)
そしてなんで美容院が多いのか。
それは単純に資格取得のハードルが低いからです。26万軒もあって、個人も法人もあると思えば、資格取得者の人数は多いでしょうね。(調べると57万人でした)
みんな開業の方が取り分が増える!って思って開業するんですが、
このくっそ少子化の時代、店舗商売はどの業種も苦しいです。
客よりも労働者を求人で集めるのが難しいです。
関係ない話ですが、私は開業しません。リスクと労力に対しての対価が低いと
私は思うからです。感じ方によるんでしょうけどね。
家族と過ごせる時間があって、趣味にも時間が使えて、有給がある。
今で十分です。勤務先が潰れてもよそに勤務できますし、
いい免許を取ったと思ってます。
歯石取りで歯が削れる?なんで血だらけになるの?
歯石取りの器具では歯は削れません。
歯石取りのキーンって音が出る器具は、超音波振動をする器具です。
健全な歯は削れないのですが、虫歯になりかけて、
脱灰という状態になっている箇所に、超音波器具を当てると、ほろっと崩れることがあります。正直崩れるくらいの虫歯はもう削って詰めた方がいいと私は思います。
血だらけになる人、それは歯肉炎が治ってないからです。
健康な引き締まった歯茎の方は、歯石取りで血がほぼでません。
歯肉がぶよぶよで歯肉炎という状態の方は簡単に血が出ます。腫れているからです。
そう言う人はそもそも、メンテナンスではなく、SRPという治療が必要です。
歯石を何度かに分けてしっかり取って、お家での歯磨き、フロスも欠かさず行い、
時間をかけて歯茎を回復させる必要があります。なので
血が出ているのは衛生士さんが下手だからではないことが多いです。
悔い改めるのは己のセルフケアが未熟という点です。
まぁ、本来は血が出ているような患者さんには適切な指導と、
補助グッズ(洗口液など)を紹介するべきです。そういう指導をされないで、
歯石だけ取ってさよならーって歯医者は
予防をしっかりしている医院とは言えないので、歯医者替えましょう笑
日本の歯医者は遅れてる?
これが聞き捨てならないので、書きます笑
日本にも、とっても進んでる歯医者があります。
ただ、恐らく都会にしかなく、全ての診療メニューが高額な自費治療です。
あなたは1本の歯の治療にいくら支払えますか?これが全てです。
遅れているのだとすれば、それは日本の保険制度・行政です。
日本なら、平均的な歯科医師でも高水準は治療ができます。しかも保険で。
ただの樹脂の治療(CR充填)は日本だと1本1000円くらいです。患者負担が。
3割負担ということは、10割でも3000円ちょいです。
ふざけてますよ、僕らからしたら。専門職の仕事の対価がこれって。
アメリカだと1万ですね、1本。しかも適当に詰められて。
国民皆保険じゃないですからね。100%実費です。
アメリカに住んでた患者さんがこんな話をしてくれました。
「アメリカで入れ歯作りに歯医者に行ったら、現地の先生にこう言われたんだ。
『日本に帰ることがあるんなら、日本で入れ歯作った方がいいよ。日本の先生の方が
上手に作ってくれるよ』って。だから帰ってきた」
アメリカの歯科医師はちょっと前までなりたい職業3位でした。
それくら儲かるし社会的地位も高いお仕事なんですね。
そんなアメリカの先生様にそういう風に言って頂いた日本人歯科医師としては、
非常に誇らしい気持ちになりました。
日本で保険の入れ歯を上下作っても、負担額はトータルで2万もしないです。
入れ歯は保険だとほとんど技工士さんに払う技工料と材料費で、トントンか赤字です。
それでも上手に作るんです。
もっと金払えって思いますが、保険点数を決めるのは厚労省なので、
我々は関与できません。
いい治療をする知識・技術はあるのに保険の範囲で提供すると赤字だから、
自費治療にしてきちんとした対価を頂くのです。
逆に保険だけだと食っていけないので、みんな必死に新しい治療を勉強して、
取り入れて、自費メニューとして紹介しているんですね。
なので様々な保険外治療を取り揃えているところは勉強熱心な可能性が高いです。
もちろん中には無茶苦茶なレベルで自費治療をして荒稼ぎしてる歯科医院も
きっとあるとは思います。でもそれは本当に少数だと思います。
金稼ぎがしたいって言うのはゼロではないですが、保険で最高水準をやると、
医院経営が成り立たないからお金持ちからはしっかりお金をもらって
いい治療を提供したいんです。
ただ、日本の歯科疾病の予防意識が低いのは、
確かに予防が遅れていると言えるでしょう。
治療が安すぎるのも予防意識が低い原因だと思いますけどね。
1000円で虫歯治せるなら、歯を大事にしないでしょうよ。
アメリカだと最低1万とられるんですから、
毎日歯磨き、フロス、マウスウォッシュなどをするでしょうよ。
そして、医療が常に欧米より10年遅れているのが、日本なのです。
これは、私が大学生の頃、飲み屋で知り合ったおっさんが、実は、
当時住んでた県の医師会副会長だったんです。精神科医でした。
ググると顔も名前も出てしまうから具体的には書けませんが、政令指定都市がある県の
医師会副会長なので、まぁ大物です。
その先生が私に話してくれたことがあります。
「飲食やファッションの流行が1年遅れで欧米から日本にくる。
そして東京で流行って、地方には数ヶ月遅れで流行る。
でも医療は、アメリカで主流になったものが日本の医歯薬の教科書に載るのは、
10年のタイムラグがあるんだ。これはもう仕方がない。政治行政だから。
自力で勉強して先取りしたら、天下を取れるかもね」と。
だから遅れているのは歯科だけではないのです。
私の知っている話だと、妊婦の血液検査で、貧血を見るために項目に
フェリチンが入ってないのは先進国でも日本くらいだとか、そんな情報もあります。
なので、ぜひ安心して欲しいです。日本の医療はだいたい遅れてます笑
歯科だけを責めないで…w
以上が、私が今回お伝えしたかったことです。
みなさんの健康を祈っております。
ちょっと長くなりすぎたので、予防にいいグッズなどのお話は
また別の機会に書けたらと思います。
ではまた次の記事でお会いしましょう。